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千葉県我孫子市で68年 木綿ワタでふとんを作っています。

〒270-1152千葉県我孫子市寿2-2-14     TEL.04-7182-0810
メール wata.huton@gmail.com 
メールには必ず返信しています。一日過ぎても返信が無い場合はお電話下さい。

木綿ワタの魅力concept

長い目で見て、腰をすえて、木綿ワタをお勧めするわけ

 寝具に使われる素材には木綿ワタ(右の写真)・羊毛・羽毛・ポリエステルとさまざまな物があります。木綿ワタは肌着として、羊毛はセーターとして、羽毛はダウンジャケットとして、ポリエステルは衣料品としてなじみ深く使われています。それぞれの素材は長所と欠点を持っています。例えば羽毛は軽くて、保温力が優れ、冬の掛布団として日本の寝具の歴史を大きく変えました。 しかし欠点もあります 矛盾していますが『暖か過ぎる』のです。日本の春夏の高温と高湿度には不向きな素材といえます。良い例が“洗えるダウンケット”ポリエステルの生地に少量の羽毛を入れたものですが、ポリエステルの繊維が水分を吸湿せず、羽毛に保温力があるために、むれて夏の寝具としては使い物になりません。最近の寝具を取り巻く商業環境は改良と付加価値を求めるあまり、お客様の為になっている改良と付加価値なのか疑問な物が多い気がします。
 新製品のほとんどが5年もたずに消えていきます。寝具を電気製品と同じように改良された新商品が次々と出てくるものと考えるのは無理があります。
 長い日本の寝具の歴史を見ていると、気候風土に合ったものが残ってきたと思えます。寒さを耐えるために獣毛なども手に入ったのでしょうが、日本では一般には使われませんでした。その理由ははっきりしませんが、やはり夏の高温多湿があったと思われます。木綿ワタは室町時代から栽培され、江戸時代には布団として利用され始めました。明治になり外国から輸入されるようになり一挙に木綿ワタの布団は庶民のものになりました。

そんな日本の気候に合った、木綿ワタの特性とはどんなものなのでしょうか。

木綿ワタの繊維は左の写真のようによじれがあります。これはワタの繊維が中空(マカロニのように穴があいている)であることによります。生育する際に中空部分には水分があり、乾燥すると空洞になり繊維がつぶれます。
ですから断面は下図のように扁平になっています。この天然のよじれや中空である事が弾力・吸湿性・保温力・独特の風                   合いを作りだしています。
もともと水分を含んで育った繊維なので、繊維の一本一本が水分を吸収します。普段多くの方が木綿ワタの肌着をお使いの事を思えばその快適さは解ると思います。
 人工的に中空の化学繊維も出来るのですが、つぶしたりよじったりすることができません。
下のポリエステル繊維の顕微鏡写真を見るとガラスの繊維のようにつるりとした感じがよくわかります。

店頭でご自分の手で触ってお確かめ下さい、そのすばらしさが解ります。

ここまで書きながら、いつも思うのは、「言葉でワタの素晴らしさを伝えることは非常に難しい」ということです。60歳以上の方は自宅で布団の手入れを手伝った経験のある方も多く、ワタにも触れているのですが、最近はワタに触ったことのない世代が多くなりました。
 そこで店頭で木綿ワタとポリエステルを用意して手で触っていただくことにしています。初めて経験に、圧倒的なさわり心地の良さに感嘆の声があがります。
木綿ワタの布団はこの心地良さをたっぷり入れて、手作業で作ります。
 さらに多くの方が言われるのが、陽に干した後の木綿ワタ特有の寝心地の良さ。秋から冬にかけては乾燥してほんのり温かく、人によっては陽の匂いに包まれて幸せを感じると言われます。布団を干すのは大変な仕事ですが、家族の喜ぶ顔、子供の歓声など、その労に余りある恵みを施してくれます。

それから忘れていけないのが経済性です。

 最近、粗大ごみの上位に布団が挙げられています。木綿ワタが主流のころは有り得なかったのですが、簡易で安価な布団が出回り始めて、使い捨てが当たり前になってしまいました。昔から中身が見えないことを好いことに、化繊を絹のワタと言って売り歩いていた業者もいます。現在も相変わらず、その体質は変わっていません。毎日の大切な眠りをゆだねる布団です。お客様自身が自分の布団の中身を見ることをお勧めします。
(注:羽毛布団は絶対にやらないでください。飛散して収拾がつかなくなります。)
 木綿ワタの場合、注文をしてくださるお客様は当店を信用して注文してくださいます。そして何年か後には必ず、打ち直しを依頼してくださいます。これは当店に限らず、昔から一軒一軒に馴染みの布団屋さんがありました。信用が何より大切でいい加減な仕事をすれば確実にお客様は離れてしまいました。しかし中のワタを見ない・ワタに触ったことが無いという状況は木綿ワタの布団を介してのお客様と布団屋の関係を危うくしています。
 最近若い人に良く言われるのが、


「今時、打ち直しをする人居る?」「打直しをするより買ったほうが安い?」

打直しをする布団と買う安い布団が同じものであるなら確かに正しいのですが、
布団屋に言わせればとんでもない話で、今まで書いてきたようなことを、30分はお話したくなります。
しかし現実は、布団屋と接点が無い若い人は安価な布団を買うことになります。
これは残念なことです。快適な寝心地を永遠にを味わってもらえないからです。
新しい木綿ワタの布団は10年から20年の使用に耐えます。現在お使いの木綿の布団の多くは過去から使い続けているものが多いので、重い・硬い・保温力が無いと欠点が並びますが、打直しをする際に新しいワタを少し入れ替えるとわたの良さがよみがえります。
ホームページの中にも書きましたが、嫁入り道具のお客様用の布団は30年〜40年経っても打直して使えます。


天然繊維の吸湿性と保温力と自然の風合いを含む素材の魅力

陽に干した後の使い心地の良さ

いつまでも繰り返し使える経済性

これが当店が創業以来、変わらずお勧めしている理由です